多分世の中は僕が思ってる以上に適当に出来ている

どうやら僕は数学的な厳密さにこだわり過ぎるきらいがあるみたいです。
ことは惑星の楕円軌道まで遡る訳ですが、そこでPoincareがその計算を摂動法を使って解いてて、そうすると振幅が無限大になるような解が出てきてっていうのが今あるような多重スケールの解析を行うような動機になったようです。同じようにStokesも特異摂動法でなんだか知らないけど解いてたら同じようなのにぶつかったようです。
そこで発散する項を永年項と呼ぶ訳ですが、これを無くすために色々と工夫がされたようです。
そこで最初に出てくるのは、上手いこと収束する解を見つけたいということでした。
まあ理系の中でもコアな所の話を知らない人はどーでも良いような話だろうし、況や文系の人にとっては何がなんだか良くわかんねーって感じでしょうが、暇人が誰か読んでるかもしれないので徒然と書いてみます。まあ今は惑星の楕円軌道について例を出したので、これについて説明することにします。
まず惑星の周期運動ということは、少なくともいえることは軌道の半径がどんどんでっかくなってって、しまいにはどっかに飛んでっちゃうと困る訳です。なのですが、実はこういう解も惑星の運動を支配する方程式を解くとうっかり出てくることもあります。何でうっかり出てくるかというと、その方程式が使える限界を超えて使うとそういう解が出てきます。
一般的に、前も書いた通り高校で習う物理の中の波とか振動というのはそれはもう殆ど動いてないんじゃないのか位の所で成り立つようなことを考えてるので、そういうところで成り立つのが常に成り立つとは限りません。勿論万有引力の法則はuniversalに成り立ちますが。古典極限では。でも、例えば、水の上の波も穏やか波ならいざ知らず、海岸線付近の砕波してるような波に対して高校で習うような波についての知識は全く以て無力であります。
じゃあそういう問題を解きたいときはどうするかというと、もっと小難しい方程式を解くことになります。
小難しい方程式を解くということは、解くのが難しくなるというのと同じなので、じゃあ解けないじゃんとなります。そして数多の天才達が色々とそれを解く方法を考えたり、近似的に解く方法を考えたりします。
それの一つが摂動法と言われているものです。
摂動法というのは簡単に解ける問題からちょっとずれるとどうなるか考えることで、難しい方程式を解く方法です。でも所詮それはちょっとだけずれた所での運動しか分からないので、離れた所のことを扱おうとすると全く成り立たなくなります。これが上で述べた永年項という項が出てきて、惑星がどんどん回転の中心から離れていってしまうという現象に対応します。
で、そこでPoincareが考えたのは、どうやら波とか振動にはゆっくりした動きと速い動きがあるだろうということです。
そうして運動のスケールを分けて考えることでより離れた所でも成り立つ定式化を出来るのではないだろうかと考えたようです。そういう風に考えると、ゆっくりした運動に対応する方程式と、速い運動に対応する方程式が出てきます。
そして速い運動の解を使うとゆっくりした運動についての式も解くことが出来ます。
で、それはまあ普通に解いてけば良いのですが、それよりも、物理的な洞察から、どっかに吹っ飛んでっちゃうような解は無いだろうということで、束縛条件を付けて、ゆっくりした振動を簡単に解けるという数学的な根拠を与えたようです。
僕はこの辺に恣意的な何かを感じてしまい、あれなのですが、どうやら世の中そういう風に結構適当に出来てるみたいです。いや、ちゃんとあるんですけどね、非同次方程式の解の存在命題をFredholmの択一定理で説明するとか。まあでもそうしてちょっとだけ応用数学は進歩したようです。前世紀の前半くらいに。そこからまた別の良い近似であるWKB*1とかも出来たみたいです。

*1:Wrentzel、Kramers、Brillouin。Brillouinは何かで見たな。読み方は「ブリルアン」。