ご先祖様のこと

俺が長男からかもしれないけど、多分曾爺さんのその上位までどこにいて、何をしてたかは知識で知ってます。その上もどういう身分だったかも知ってます。更に江戸時代以前何をしてたかも何となく聞かされてます(伝説の類いだとは思うのだけど)。
でもそれは父方の方だけで、母方の方は全然知らないんっすよね。
親父の方は、爺さんがどこ出身で、婆さんがどこ出身で、両方がいつの時代にどこをどう引っ越して、どういう繋がりで結婚して、いつ頃伯父や伯母や、親父が生まれたかとかまで知ってます。父方のババアについては、婆さんがガキの頃どこの神社で遊んだとか、そういうことでさえペラペラ喋って、ひつこく聞かされたので、いつの間にか覚えました。
でも母方の方は分からん。
まずは母方の方は職業軍人で、転勤がしょっちゅうあったというのでさっぱり分からん。その上爺様がシベリアに抑留されてたというのと、曾爺さんが将官だったので公職を追放されてるという黒歴史があるのでさっぱり分からん。
婆さんのいうことをとっても、子供の頃は所沢の連帯に曾爺さんが勤めてたとか、女学校は満州で、チチハルにいたとか、大連に行ったことがあるとか、長春にいたとか、校庭に氷張ってあって、そこでスケートしたとか、引き揚げは大変だったとか、満州では石炭が露天掘りで採れたすげーとか、うちの兄弟の麻雀は本場の大陸仕込みだぜとか、そういう断片的なことばかりで、祖父や曾祖父がどういう身分にあって、どういう仕事をしてたのかさっぱり分からない。
ので、母親に聞いてみても、これまたさっぱり分からない。そもそも奴は海軍兵学校陸軍士官学校の区別がついてないらしく、曾爺様はやっぱ江田島兵学校にいたのだろうかと聞いてみても、士官学校に行ってたんじゃないのとか言う始末。お前それは陸軍だと。祖父についても、満州の海軍の航空整備隊にいたというのがどうやら正しいらしいんだけど、所属が奴の中で陸軍とか海軍にコロコロ変わる。
こいつ、自分の親とか爺さんとか婆さんとか、そういうのに興味ないのかなあとか、たまに思う。しかも長女なのになあと。あと、以前あったとき大叔父さんが、俺は士官学校出身だとか自慢してました。それとは別の大叔父さんは不真面目な大学生で、教育大を中退してやったぜとかこいてました。何でこいつらこんなカオスなんだろう。
そしてうちの弟や妹は俺以上に脳味噌がゆとり設定だから、そういうのの時代背景も、どこにいてどういうことをしてたのかというのも理解できないのだろうなあ。こうして色んなものが過ぎ去ったものになってくんだろうけど、何で俺はこんなことを覚えてるのだろう。この年で墓守でもあるまいしなあ。