Fourier変換による微分方程式の解法

あとは最近気になってるのはFourier変換で微分方程式を解くときに、境界条件が奇関数で与えられてたらFourier Sine変換で解いて、偶関数で与えられてたらFourier Cosine変換で解いてっていうのを初歩の段階でやって、それから一般的なみんなが良く知ってるFourier変換、F[f(x)]=∫dx exp(ikx)f(x)で解いてくんはず。恐らく一般的な微分方程式の教科書はこの道から外れることなく書いてある。
じゃあ、じゃあだよ、境界条件が偶関数で与えられてるときにそれを奇関数であるFourier Sine変換で解いたらどうなるのさ?っていうのが気になる。
一応Fourier級数は得点を含まなくて無限遠で収束するような関数は展開できるんだけどね。ちょっと興味をそそられる。
で試しに半無限領域でδ関数とか展開できるのかと考えたり...
まあ思いつくことには思いつくがそこから先が辛いっす。
例に拡散方程式を考える。面倒臭いから拡散係数は1にする。初期条件はデルタ関数で与えて、境界条件無限遠で0を適用する。つまり、
  \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}=\frac{\partial \phi}{\partial t} \\ \{\array{\phi (x,0)=\delta (x) & \ \\ \phi (x,t)\rightarrow 0 & \text{at} x\rightarrow \infty\\ \phi_x (x,t)\rightarrow 0& \text{at} x\rightarrow \infty}
とする。そして、Fourier Sine変換は
  \scr{F}=\Bigint_0^{\infty}dx \vspace{5mm}\sin (kx)\\ \scr{F}^{-1}=\frac{1}{2\pi}\Bigint_0^{\infty}dk \vspace{5mm}\sin (-xk)
とおく。そして方程式を変換する。
  \Bigint_0^{\infty}dx \vspace{5mm}\sin (kx)\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}=-\frac{\partial \tilde{\phi}}{\partial t}
これを変換するだけなら簡単だ。適当に部分積分すればいいし、そもそも境界条件は面倒な係数が出ないように与えてるので、簡単だ。多分これをFourier変換とかいう変な名前がついてるんだということを教えないでいきなり高校生に変換させても理系の生徒なら出来ちゃうくらい簡単だ。実際にやってみると、
  \Bigint_0^{\infty}dx\vspace{5mm}\sin (kx)\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}=\underbrace{[\sin (kx) \phi_x]_0^{\infty}}_{=0}-k\Bigint_0^{\infty}dx\vspace{5mm}\cos (kx)\frac{\partial \phi}{\partial x}\\=-k\{\underbrace{[\cos (kx)\phi]_0^{\infty}}_{=\phi_0}+k\Bigint_0^{\infty}dx\vspace{5mm}\sin (kx)\phi\}\\=-k(\phi_0+k\tilde{\phi})
となり、解くべき方程式はただの常微分方程式になる。
  k\phi_0+k^2\tilde{\phi}=-\frac{\partial \tilde{\phi}}{\partial t}
これは秒殺できて、実際には定数変化法を使う。
  \tilde{\phi}=C(t)e^{-k^2t}
これをもとの常微分方程式に戻すと、
  k\phi_0+Ck^2e^{-k^2t}=-C_te^{-k^2t}+Ck^2e^{-k^2t}\\k\phi_0=C_te^{k^2t}\\ \frac{dC}{dt}=k\phi_0e^{k^2t}
これを積分すると、
  C=\Bigint_0^{\infty}dt \vspace{5mm}k\phi_0e^{k^2t}=C-\frac{\phi_0}{k}
よって。
  \tilde{\phi}=\frac{\phi_0}{k}+Ce^{-k^2t}
とかなるんだが、これから先がすげー怪しいっす。実際には初期条件を合わせる作業を行うのだけど、変換したものの初期値は、
  \tilde{\phi}|_{x=0}=\frac{\phi_0}{k}+C
になって、問題から与えられる初期値は、
  \tilde{\phi}|_{x=0}=\Bigint_0^{\infty}dx\vspace{5mm}sin(kx) \delta(x)
になる。ここで、半無限区間でのδ函数のFourier積分てばどうやるわけ?訳若芽。とりあえずFourier級数展開に立ち戻って考えようということで、
  \delta (x)=\Bigint_{-\infty}^{\infty}dk\vspace{5mm}A(k)sin(kx)
を考えるわけさ。でもね、波数が-∞から∞っていうのに半無限区間のFourier積分であるという条件をどうやって盛り込めばいいわけさ?その辺がちょっとしっくりこないんですよ。そもそも半無限区間でδ函数で初期条件を与えるとは一体どういう了見だと、数学的にだけど。物理的には水槽に一瞬だけ熱源を当てたっていうことになるんだけどね。


Mathematica様にお伺いを立てたところ、
  \Bigint_0^{\infty}dx\vspace{5mm}\sin (kx) \delta (x)=\frac{\sin (kx)}{2}\\\Bigint_{-\infty}^{\infty}dx\vspace{5mm}\sin (kx) \delta (x)=\sin (kx)
としてよいらしいのでそれに従う。無限領域ではそうなんだけどさあ。どうも納得いかねえが、まあMathematicaが単純な計算*1を間違えることはないし...っつーことで、初期値はsin (kx)になったっつーことで、
  \sin (kx)=\frac{\phi_0}{k}+C

*1:積分を単純な計算というかどうかは置いておいて。