微小渦の除去

繰り込み群の方法っていうのは小さいスケールの運動を全体から「つまみ出す」ことらしい。
運動を規定するための変数がλだとして、それから小さいスケールの運動δλをつまみ出したものをλ'として、そのλ'からさらにδλ'をつまみだしたのをλ''として無限回これを繰り返す。で、λからλ'への写像をDとすると、λ'=Dλになって、これをn回繰り返すとその演算子Dn半群*1で、そのような群を繰り込み群と呼ぶらしい。
で、そのような繰り込み変換を状態和Zなり、運動方程式に適用するとスケール不変な何かが絞り粕として出てくるらしい。
まあ巷間の本には統計力学の問題での繰り込みは良く出てて、状態和Z=exp(-βH)の繰り込みは良く出て来るんだが、運動方程式繰り込みは出てこない。
でも運動方程式はある流れだとかなんだとかの運動の状態を規定するもので、運動方程式を与える写像の核が流れの状態である。
ということはその写像が決まれば流れの状態も決まる訳で、それとは別にエネルギー状態から空間内での粒子なりの分布の状態を導き出す状態和も同じ「状態」を表す手段としては同じな訳で、恒等式y=f(x)によって表される状態が写像Fの核で表されようが像で表されようが物理的なイメージは同じなので、結局のところ繰り込み変換は写像に対して施されるのである。


で、運動方程式をFourier変換して、初期境界条件の変わりに入れるランダム力(Gaussianらしい。)を入れたやつは
  \hat{u}_i=\frac{1}{\nu k^2-i\omega}\{f_i-i\lambda\(\frac{k_ik_jk_k}{k^2}-k_j\delta_{ik}\)\Bigint dk_k\hat{u}_k\hat{u}_j\}
になる。ここでλは摂動変数である。
で、長波長の運動に注目するときには逆変換である波数までの積分で逆変換を与えればいいので、その切り落とすべき波長をΛとすると、この運動の解は
  u_i=\Bigint_{-\infty}^{\Lambda}\frac{dk^4}{(2\pi)^d}\hspace{5mm}e^{ik_ix_i-\omega t}{\nu k^2-i\omega}\{f_i-i\lambda\(\frac{k_ik_jk_k}{k^2}-k_j\delta_{ik}\)\Bigint dk_k\hat{u}_k\hat{u}_j\}
となる。ここでdは運動の次元性を表すパラメータである。
またランダム力は相関関数の核で与えられて、相関関数はyというのをパラメータにして
  \lt f_if_j\gt =\frac{Pij}{k^y(2\pi)^d+1}\delta_{ij}\delta (\omega)\\P_ij=\frac{k_ik_j-\delta_{ij}}{k^2}
である。次に切り落とす波長をkdとして、それによって分けられる流速を
  \hat{u}_i=\hat{u}^{\lt}_i+\hat{u}^{\gt}_i
とする。そして、これをFourier変換した運動方程式に代入すると
  \hat{u}_i=D\{f_i-i\lambda P_{ijk}\Bigint dk_k(\hat{u}^{\lt}_k+\hat{u}^{\gt}_k)(\hat{u}^{\lt}_j+\hat{u}^{\gt}_j)\}\\=D\{f_i-i\lambda P_{ijk}\Bigint dk_k(\hat{u}^{\lt}_k\hat{u}^{\lt}_j+2\hat{u}^{\lt}_k\hat{u}^{\gt}_j+\hat{u}^{\gt}_k\hat{u}^{\gt}_j)\}\\D=\frac{1}{\nu k^2-i\omega}
という風にして微小なスケールの運動を除去するらしい。

*1:逆元が特定できないので