飯豊山行2日目(8月9日): 川入-切合小屋

朝3時に起きて、飯炊き。虻はいつの間にかいなくなってた。前の日は虻に刺されまくったのと、長時間の移動で疲れて、8時くらいに寝た。
取り敢えずインスタントラーメンを作って起き抜けの空腹を埋めてみる。朝飯はいくらくっても腹が減るのだけど、インスタントラーメン2袋で腹一杯。で、ご飯炊いて、昼飯用のコッヘル弁当を作る。どうせ火を使うのだからまとめた方が昼飯の段取りは良い。昼飯にはご飯に混ぜるだけでできるチキンライスにした。
メシ炊いて、チキンライスの素を混ぜて、小さい方のコッヘルへ詰めて弁当にする。


で、キャンプ場の脇の登山口から登る。いきなりバカ登りのクソ登り。
この辺は初日はつらいものと相場が決まってるので、なんも考えないでひたすら登る。今回は荷物が軽くて20kgしかないので、テクニカルな場所がなければコースタイムより短めで登れる。軽い装備のおっちゃん、おばちゃんらと同じくらい。たまにガチな軽装備がいて、それには負ける程度。
で、ずーっと景色がない。当たり前のことなのだけれど。
飯豊山は標高が低いので、森林限界を超える地点がだいぶ高いところで、高低差1000mをこなさないことには景色が開けなくて、まったくモチベーションがわかない。もうこの辺はほとんど記憶がなくて、どのポイントをどのくらいの時間で通過したかしか覚えてない。
そういうことで、川入から地蔵山手前の分岐までは3時間なんだけど、そこは2時間半くらい。で、そこからだるいので、地蔵山を巻いた。水場あるし。去年はこの辺まで来て、水場で水飲んで、雨が凄すぎて這々の体で下山した苦い記憶がある。で、水場で水飲んでたらザックの方から物音がして見てみたらザック倒れて、中身がブッ散らかって、そのうち一番上にあったカメラがゴロゴロと谷へ落ちてった。せっかく使い方覚えたんだけど、もう飯豊山で撮る写真は携帯カメラだけになった。へこんだ。壮絶に凹んだ。
そこまではよいよいでこられたのが、三国小屋の前から岩場が始まって(剣が峰の岩稜)別になんてことはない岩場なんだけど、ザックが重くてそれに気を取られて全然進まない。コースタイムが1時間なのが2時間かかった。やべぇ。つか岩場がすげー久しぶりだった。
三国小屋ついたら、13時で、ハンガーノック気味だったので、昼飯。因にここまでの道のりは、川入-地蔵山分岐2.5hr(コースタイム3hr)、地蔵山分岐-三国小屋4hr(コースタイム2hr)で、6時出発で13時。やっぱ岩場でタイムロスが。
メシ食って、ちょっと昼寝して、その日の泊まる場所を本山小屋にするか切合にするか悩みつつ進む。結局本山小屋にテンパるのは無理っぽかったので、後々切合でギブアップするのはそれなりに妥当な判断だった。
そして、三国超えると景色が見えてきて、飯豊連峰の穏やかな稜線が開ける。森林限界は超えるものの、薮とハイマツとその他高山植物が強烈に生えてるので岩はほとんど見えない。緑の山に所々残り雪が残ってて大変印象である。というか、景色、これまで登ってきた山の中で一番良くねーかくらい。もちろんそこには登りがひたすらキツいって言うのがあったのかもだけど。
それに比べても北アルプスとか南アルプスのごつい山の塊というよりは、北の方の穏やかな山容に、断然濃い空と山の緑の色が印象的である。
そこからはもう景色が出てきて気分的に楽になる。
ずーっと飯豊連峰をみながらちんたら進む。けど、まだ登りが400m残ってる。かったるい。しかも三国小屋すぎたらすぐに軽い鎖あるし。別に鎖なくても俺のクライミング技術なら登れるけど。それでも時間がかかる。
そうこうしてたら15時に切合着。
まだ本山小屋にいく余裕はあるけど、そこから先は一番楽しみなコースだし、岩場とクソ登りで消耗してたので切合で泊まった。人が無茶苦茶多かった。飯豊山は人が少なくて良い山だと10年前に聞いたのは何だったんだろう。
俺はすぐにテント張ったんだけど、小屋泊まりの人がたむろしてるところではやたらと100名山の話ばっかしてる。つか、そういう俗っぽい話は北アルプスでやれって話です。槍とか奥穂とか御誂え向きで、そういう連中はその辺でトラップしていただきたい次第。つか百名山五月蝿い。私はもう96座登りましたって、お前百名山全部登ったらもう山のぼんねーのかよって。まあ登ってきてくれない方が有り難いんですが。とか思いつつダラダラしながらビール飲む。散歩する。
小屋の直前にある砂場と賽の河原のあいだっこくらいな丘が良い。大変良い。ケルンを余計に積んでみる。ゴロゴロ昼寝する。虻に食われる。景色みる。飯豊山がよく見える。
百名山に話しかけられる。適当に答える。俺くらいの年じゃまだ百名山をモチベーションに山登るのは少ないのに、あんたもここ来たのは百名山目指してるからとか言われて、そんな問いかけは思いもかけず、いえ、僕らくらいだとワンゲル的な人脈で勧められるんでみたいなことを言ってみた。釈然としてないようだった。
まあガイドブックを当てにするか口コミをあてにするかってことなんだろうけど、俺は圧倒的に口コミをあてにして、百名山はガイドブックをみて観光するような手合いなんだろうから話が噛み合う訳がねー。つーか昼寝させろ。で、昼寝したら虻に刺された。涼しいし、景色良いし、百名山がいなくなったら静かで最高。そこらで親に連れられて賽の河原で遊んでるガキんちょの騒々しいのもご愛嬌である。
目を覚まして、道中たまに行き会った老夫婦とちょっと話した。内容は忘れた。まあ仲睦まじくていいもんである。そして、コミュニケーション能力のある人らは何やら色々と話してたけど、僕はずっとぼーっと飯豊山みてた。やっぱ日数分のメシとテント担いで登る山は感慨深いものがある。



切合小屋のテント場からの飯豊山

既に日没気味


切合から飯豊山を望んでの日没