飯豊山行3日目(8月10日): 切合小屋-飯豊本山-御西小屋-梅花皮山荘
前の日の夜にへろへろになって、6時くらいにシュラフにくるまってぼーっとしてたら寝落ちしてて、目が覚めたら朝の3時だった。9時間も寝ていたらしい。
まだ眠いのでゴロゴロして、いい加減にテントから出てインスタントラーメンを作って食う。2袋。
ついでに昼のためのコッヘル弁当を作る。昼飯ごときに時間をかけると体が冷えるし、時間のロスにもなってあまり好きではないので独行のときは昼は専らコッヘル弁当である。最近は色々と炊きたてご飯に混ぜるだけでそれなりになるものがあって有り難い。取り敢えずチキンライスなんてのはとてもお手頃である。
そしてテン場から小屋の前の賽の河原へいってご来光を拝んでみる。人が沢山いる。百名山を目指してる人も沢山いる。
適当にメシ食って出発する。
切合小屋をでていきなり登りでかったるい。ほぼ寝起きから心拍数ががっつり上がる。そろそろいい加減に標高も1700mあるので息が上がりやすい。岩場がないと空荷のおっちゃんらとほとんど同じ速度で登れる。じいちゃんばあちゃんはぶち抜いていける。
そして切合小屋で手すぐの小ピークを過ぎたら数カ所ほど岩場があった。子供連れのかあちゃんが難儀してた。ガキンチョが岩場登るのを助けてみた。本当は自分で行った方が楽しいんだろうが、子供の手足の長さにはどうにも手に負えない岩である。少しだけいい人になった気分だけど、先に行ってもらわないことには俺が先に行けない。
その辺りからずっとすかっ晴れで飯豊山がよく見える。
標高が1900mくらいしかないところでも雪渓や、雪田が残ってるのはやっぱ東北だからなんだろうなあ。そしてハイマツがずっと茂ってる。森林限界が低いのかはよくわからないけど、気温と緯度から決まる森林限界は東北の場合は2000mくらいな気がする。北アルプスが2500mくらいで、北海道が1500mなので、その間くらい。でもハイマツが多いのは風が強いからなのかとか思ったりするけど、あんまし詳しくないので全て憶測である。
切合小屋から飯豊本山までの間、姥権現というお社の小さいのがあって、そこで地元のおっさんに話しかけられた。東北弁が妙にはまる。どうやらおっさんはよく飯豊山へくるらしく、姥権現のご利益を解いてくれた。
家内安全、安産祈願のお社で、取り敢えず家庭に関することは全て姥権現の領分で、五穀豊穣は飯豊本山の領分らしい。
ここで前述の通過儀礼について聞いて、まあ世の中色々とあるもんだと思ったりする。
おっさんがいうには、その日のような快晴は滅多にあるものではないらしく、しきりに珍しがっており、僕のことを運がいいといっていた。確かに飯豊山は虻さえいなければ良い山で、何度でも来たいのだけど、アクセスのしにくさからこれからの人生であと何度登る機会があるか考えると、ひょっとしたらこの天気の条件で登れるのは今回が最初で最後かもしれないと思った。
そこから飯豊本山へはだらだらしてたら着いた。
本山小屋は小さい小屋で、飯豊山神社にお参りしようとして、小屋番を探したけど誰もいなかった。ので、適当にスルーした。そしてちょっといったところにまたお社があった。
お社で切合であった人らがいた。みんな飯豊本山まででピストンらしい。みんな昼飯を食ってたけど、僕はもう少し頑張って先を目指した。カメラ落としたとか、地図落としたとか、みんなほとほと適当である。
そしてそこから御西岳を目指す訳だけど、なんてことはないけど、景色の良い稜線をちんたらと歩く。ここまでくると流石に人とほとんど会わない。そして気がついたら御西岳を通り過ぎて御西小屋へついてた。そのくらいなだらかで、八幡平を自転車で上ったときに受けた、東北の穏やかな山容を改めて実感する。道中お花畑とハイマツと雪田を望みながらほぼ平坦な稜線を歩く訳だけど、クソ登りを登ってきた甲斐があるというものである。
御西小屋で丁度水が切れたので、水場へ水をとりにいく。どうやらここの水が一番美味い。ただ、道が微妙に良くない。そして昼飯を食う。
時間があればここでテンパって、大日岳へピストンして翌日梅花皮へいくところだけど、後が詰まってるのでここはスルー。ここの小屋番のおっちゃんは山形の人だったんだろうが、殆ど訛がなかった。ここまでで東北弁にだいぶ慣れてきたので拍子抜けする。
そこから梅花皮を目指してまたタラタラと稜線を歩く。
飯豊本山の主稜線を外れて、気分的にも下山モードでそこはかとなく後ろ髪引かれる。できればもう数回御西から切合まで歩きたい。そしてやっぱ人と殆どあうことなくタラタラ歩く。この辺りになると大分肩に疲労がたまってきて、ザックを背負うのがしんどくなってくる。
というのも、それまでのトレーニングの登山では軽い荷物を適当に背負ってたので、重いザックを腰に負荷をかけて真面目に背負うなんてことはしないで、専ら肩で背負ってたのでそれがついに限界まできたっぽい。もうかなりいい加減に背負って歩いた。
そしてこの辺りは稜線が細く、多少おっかない箇所なんかもあったりした。おまけに昼を過ぎてガスっぽくなってきて、さっさと梅花皮までいかないと氏ぬなんてビビりつつあるいた。景色はそれなりに良いんだろうけど、それよりも天候の変動に気が気じゃなかった。それでもたまに雲が切れたときの飯豊連峰の稜線はまた壮観だった。
そこから数度取りかかりの分らない風情な雪田を軽くトラバースする。初心者じゃなくてよかったとおもう瞬間である。そして、やっぱり気がついたら梅花皮山についてた。結局のところ難所というとこはほぼなく、雪田だけが少し厄介だった。そして飯豊本山からこのかたやっとまともにピークらしいピークで山と名前のついているものに出会った感じである。そこからちんたら下ると梅花皮小屋で、この時点で既に雲行きがかなり怪しいので、さっさとテンパろうと思った。小屋番のおっちゃんは惚れ惚れするような奇麗な山形弁使いだった。ビールを飲みたかったけど、そんなもん飲む元気もなく、取り敢えず記帳して、次の日の下山ルートを聞いてみた。
石転び沢について興味があったのだけど、おっさんに聞いたところ、斜面が急なので下りはほぼ不可能なことと、今年は暑くて雪が少ないのでガレガレだからたとえ登りでも相当時間がかかるらしい。まあ確かにああいうところなら雪渓をキックステップで登るのが良かろうなあ。ただ、石転び沢でいくと相当ショートカットできるのでそれはそれで魅力的ではあった。今度はこっちから登ろうかなあ。まあ連休当たりから夏休み前を狙わないといけないんだろうが。
そしてテンパってたら小屋番のおっさんにさっさとテントはいんねーとブヨが湧くっていわれた。実際見る間にブヨが集ってきて、全身血まみれになるとこだった。取り敢えずタオルぶん回したりしてみた。まあこの辺りになったら虻もブヨも集るだけ集ってもらって全く気にならない。痒いけど。
そしてカレーを食って、またテントでぼーっとしてたら寝てた。
コースタイムと実際の時間
- 切合小屋-飯豊本山: 6:00発-10:00着、3hr(コースタイム2hr20min)
- 岩場で多少時間を食った
- 飯豊本山-御西小屋: 10:15発-11:45着、1hr30min(コースタイム1hr15min)
- 景色がいいのでちんたら歩いてたらコースタイム通りだった
- 御西小屋-梅花皮山荘: 13:00発-16:00着、3hr(コースタイム3hr50min)
- 天気が悪くなりそうだったので急いだらかなり早く着いた