KdVの予習

KdVの授業でやるような奴の前半。KdVは三階の偏微分方程式だけど、それを常微分方程式にして、一階の方程式まで積分するところまで。
といっても、当然こんなもん一般解が求まるわけもないので、部分集合なんだが。まあ所詮教科書レベルだから気にしなーい。
  \frac{\partial u}{\partial t}+u\frac{\partial u}{\partial x}+\mu\frac{\partial^3 u}{\partial x^3}
とかいうのがKdV方程式の表式だが、ぱっと見すげーおどろおどろしい。asicsロゴマークみたいな偏微分の記号が随所に散りばめられてて、しかも3階の微分まで入ってる。だから、これを別の書き方で書く。
  u_t+uu_x+\mu u_{xxx}=0
こう書くと何となくただの書き損ないの英語だか何だかの洋物の文章に見えるから不思議だ。いや、俺は普通に数式に見えるんですけどね。でも見ようによっては何かしらの暗号に見えなくもない。まあ数学の分からない人にいわせれば上の式も最初の式も暗号なわけだが。
そんなことはどうでも良くて、ここで、波を扱うときにありがちな変数変換をする。
  \xi=x-ct
これはd'Alambertの解を仮定して波動方程式を解くときと同じ様なことをする。が、ここでの変数変換はどちらかというと座標変換に近い。要するに位相速度cの波に乗って現象を見る感じ。だからEuler的見方で見てる運動方程式をLagrange的見方に書き直す作業をしている。といっても位相速度cについての変換しかしてないのでそれほど大袈裟なことはなくて、ただのGallilei変換。で、これを施すと、ξとx, tそれぞれとの関係から、
  \frac{\partial\xi}{\partial t}=-c \\\frac{\partial\xi}{\partial x}=1
なので、KdV方程式は、
  -cu_{\xi}+uu_{\xi}+\mu u_{\xi\xi\xi}=0
になる。
上の変数変換で大変ありがたいことに偏微分方程式がξについての常微分方程式になった。とか言いつつ、この手の変数変換は波を扱うときに良くやる方法なので、大して驚もしないが。そして上の常微分方程式非線型だけど、一階積分できる。ので積分する。一次元ってありがてーなーと感謝することを忘れてはならない。そして、どこかに自由度を忘れていることもついでに頭に入れておこう。
  -cu+\frac{1}{2}u^2+\mu u_{\xi\xi}+C_1=0
次に両辺にuξを掛けてもう一度積分できる形にする。流体屋はちょっと位非線型でもめげてはならないと言い聞かせつつ。
  -cu_{\xi}u+\frac{1}{2}u_{\xi}u^2+\frac{\mu}{2}u_{\xi}u_{\xi\xi}+C_1u_x=0
これも高校生でも積分できて、
  -\frac{c}{2}u^2+\frac{1}{6}u^3+\frac{\mu}{2}(u_{\xi})^2+C_1u+C_2=0
になる。
ここで、積分定数がウザいので、対象を正則な集合に限定することでC1とC2を無視する。正則っていうのは複素関数の教科書でも見れって感じだが、f(n)=0 at x→∞って感じ。だった気がするが記憶が定かではない。
そして、
  u_{\xi}^2=\frac{\mu}{2}\left(\frac{1}{6}u^3-\frac{c}{2}\right)
になる。ここで解は二つあることに気が付くと嬉しい。というか、それが嫌々なわけでもある。要するに、
  u_{\xi}=\pm\sqrt{\frac{\mu}{2}\left(\frac{1}{6}u^3-\frac{c}{2}u\right)}
になる訳である。そしてこれはもう少し積分しやすそうな形
  u_{\xi}=\pm\frac{u}{\sqrt{\mu}}\sqrt{\frac{1}{3}u-c}
になる。
続きはまた明日。
そして貧血気味でも数学は出来ることが分かった。