回転する卵が浮く

ゆで卵ってばくるくる回すとなんとなく飛び跳ねそうな感じがしますが、それについて慶應大学の下村先生が実証して、それがイギリスのRoyal Societyのプロシに掲載されたみたいです。なんでも卵を1800(rpm)*1で回転させると宙に浮くとか。
なんつーかこんなもん研究して何の役に立つんだとか思われるかも知れませんが、これってば非線型振動がどんどん増幅されて思いも寄らない現象を引き起こすっつーので、バタフライ現象の例にあるようなカオスの研究に近いものがあります。こういうのは構造物を作るときに結構重要になるのですね。タコマ橋がぶっ壊れたのもこういう振動が増幅したからだっていうのは有名な話です。
っつーことで、そのプロシーディングを訳してみます。なんとなく今日はそんな気分です。

どうすれば卵は跳ねるか
2006年4月12日

卵についての研究が今日王立協会誌A*2に掲載された。慶應大学の研究者が卵を十分速く回転させると、卵は地面から浮くことと発見した。

これが何が問題で、そろそろあるイースターの話かと思うかも知れない。でもこの現象は天気予報や構造物の建築への応用に関係してくる。

研究チームは卵のような形をした物体を回転させると何度かジャンプすることを実証した。その研究は小さく、ランダムなズレが予期しない結果に至ることを実験した。例えば、小さくて規則的な振動がロンドンのミレニアムフットブリッジに与えられれば予期しない「事故」がおこるか、風の中の小さな振動が全体の起床二度のように影響するかである。

この研究に携わった下村豊教授は、「回転する卵の問題は所謂、"toy problem"だが、小さな揺動が予期しない事態を導く実例になる。今回提案した理論は乱流のものである。実験的にこの問題に対処することは潜在的に研究者が起床の動力学や自動車や飛行機の周りの乱流場について考察するきっかけに成り得るだろう。」と言っている。

研究チームは理論を実証するための機械の開発に2年を費した。外乱無しに1500(rpm)で回転させる必要があった。最終的なものは卵を2500(rpm)まで回転させることができるが、1500(rpm)あれば十分卵をモデルにしたアルミの模型をジャンプさせることが出来る。

下村教授は、「ジャンプは凄い小さく、ミリメーターのオーダーのもので、0.01秒しか持続しない。最初はアルミの形の模型で実験したが、最終的には硬めにゆでた卵で実験し、1800(rpm)で成功した。研究の過程で3種類の楕円形の模型を用いた。一つはより球に近いもので、もう一つはラグビーボールの形をしたもので、もう一つは卵の形をしたものだ。次のステップではより平べったいもので実験して、その次は生卵や、中に液体がはいってる物体を浮かせたい。」と付け加えた。
http://www.royalsoc.ac.uk/news.asp?id=4386

なんつーか、中に液体が入ってるものの解析ってちょっとばっか面倒なんですよね。水の中を沈んでく石ころと、水の中を落ちてく油では色々と変わってくるのですよね。

*1:rotation per minitですね。/sの方がいい気もしますが、/sだと周波数のイメージが強いんで何ともあれです。そして/sは「ぱーせく」と読むことが多いです。

*2:これってばイギリスの学会の一つで、Royal Societyです。学会誌がいくつかあって、Philosophical Transaction of Royal SocietyっていうのがAからEくらいまであったのですが、科学を哲学として呼ぶのが時代にそぐわなくなったのか、最近はTransaction of Royal Societyです。結構掘り出し物のいい文献があったりします。